おうちと環境と妄想
どんなところに住みたいですか?
スーモのお姉さんて、話を聞き出す天才だった。
私はいつも妄想はあれど、それを言葉にするとなんだか違うなあ、の繰り返し。
何でもいいんですよ、普段おうちでしてることを教えて下さい。
おうちでしてることかぁ。植物を育ててますね。
あ、良いですね。そしたらベランダでガーデニングできるといいですね。
わぁそれ私の理想です。
他に、何でも。今おうちでしてることでも、これからしてみたいことでも。
んー、ピアノを置きたいです。
素敵です!今も弾いてらっしゃるんですか?
いえ、とてもピアノを置ける大きさの部屋ではないので。
おうちのイメージが広がってきましたね。
あー、いつか犬を飼いたいなあ。
良いですね。楽しい理想をお持ちじゃないですか。
あー、ベランダでビール飲みたいですねー……
私は褒めて育てられた現代っ子…ではなく、自己肯定感を尽く否定する教育方法で育った世代。しかも就職氷河期世代。雑種の犬が外で鎖に繋がれて育った世代。
やっぱ肯定するって大事なのね。
家のこと訊かれてるのに、衣食住どれにも当てはまらないどーでもいい事ばっかり回答してる。
にも関わらず否定しない。
それが核心に繋がっていくことをお姉さんは分かっていたのですね。
私ってほんまあほでお調子者で幼稚だ。
違った。
私って素直で朗らかで若々しい!
長い物には巻かれろ
やってきましたスーモカウンター
とりあえず源泉徴収票を片手にいざ。
この源泉徴収票、この時初めてちゃんと見ました。
見る以前にその紙切れを探しまくった。自分の年収がいくらで、それが世間的に高いのか低いのかも知らず生きてきた39歳。恥ずかしい。
でも、今考えると、自分の年収のなど気にせずなんとなく生きてこれたなんてシアワセなことだったんだなとも思う。
スーモで予約名を伝えると、感じの良いお姉さんが対応してくれた。隣のカウンターは若いカップル。気にしない気にしない。
まずはお金について。
年齢、職業、年収から。一体幾らくらいのおうちを買うことができるのか、なにやら特殊な電卓でパシパシはじき出してくれた。
分かったことは、自分の年収が決して低すぎるものではなかったこと(決して高くもないが)、国家資格のある職業で長く働いているから、ローンも問題なく組めるであろうこと、そして、何より具体的なおうちの金額が分かったこと。
今まで、一人だから、大した稼ぎでもないからという理由で妄想止まりだったおうちプランが、なんだかすっと前に進んだように感じた瞬間でした。
とはいえ、たったこれだけのこと。人がとっくにやってること気付いていることに追いつくのがなんと遅いことか。
「10年遅れてますね…ワタシ」と呟く私に
「いつでも今が一番です。」と言ってくれたお姉さん。
今まで何してたんだ私!!とは思わないことにしよう。
わたしのおうちはどこですか
間取りで妄想したって
帰るおうちは変わりません。
どうしたものかと行き詰まりながらも、ネットで間取り妄想を繰り広げる毎日。
でもね。あれこれ見たって、結局自分が住めるおうちってどんなものなのか、誰も教えてくれません。
うだうだ、うーーんと唸っている時に見つけたのが、スーモカウンターの広告。
「賃貸VS購入 あなたはどっち?」教えてくれるらしい。しかもタダで。
おー、まさしく今の私にピッタリ。予約して来店しないといけないのかあ・・・うーん。行きづらい。
なぜなら私は今をときめくアラフォーおひとりさま、というカテゴリー分類。チッ。
きっと、他の幸せいっぱいのお客さん達に、あの人一人でこんなとこ来てるぅスゴくない?!てかさみしくない!?ってクスクス、憐みの目で見られるんだああぁ。
って、べつにいいけど。
ということで、とりあえずビクつきながらも予約完了。
今思えばこの時が、私がおうちをかう神様の前髪をグッと掴んだ瞬間だったのです。(大げさ?)
おうちのパンフレット
ところで私、おうちが欲しいんですけど
ってどこで誰に言ったらいいんだろう。
ネットで「マンション」「購入」なんて入力してみると、あれあれ、盛りだくさん出てくるでないの。
ほうほう、とりあえずマンションてお幾らなのかしら?あれ?私はいくらのマンションが買えるのかしら?ん?ま、いいか。分かんないからこそ行動行動、とりあえずパンフレット請求をポチッと。
こんなことして、バシバシセールスの電話やらメールやら来たらどうしようとビクつきながら(おうち欲しい、どこで買うんだと言ってたくせに)とりあえずはじめの一歩完了っと。
この時点で自分の年収すら把握できていなかったばかやろうが、超短期間でするすると導かれてゆくのでした。
家ってどうやって探すんですか
じぶんのおうちがあればなあ。
と、漠然と思いながらなにもせず何年過ごしていたことか。
「そういえばほんとに買うには具体的にどうすればいいのかしら?」
と夢見がちな私がふと現実と向き合ったときに呟くと、
「少なくとも、思っているだけでは買えないよ。」との声が。
は!そうだ!その通り!空想妄想に明け暮れた人生を送っていた私が、
齢38にしてやっと行動に移すことに。
この後の展開には、何をするにも気付くにも人より圧倒的に遅い自分でもびっくり。